SC 35/WG 6国内委員会
(ユーザ インタフェース アクセシビリティ)
主査 野村 茂豊
1.委員会概要
高齢者・障害者を含めた全ての人が情報通信機器やソフトウェアを利用できるようにするために,そのユーザインタフェースに関するISO/IEC規格を審議する。
SC 35は,WG 6の案件審議などのために次の組織とリエゾン(連絡体制)を組んで相互の活動状況を確認している。
- ISO/IEC JTC 1/SC 36 Information technology for learning, education and training
- ISO/IEC JTC 1/SC 37 Biometrics
- ISO/IEC JTC 1/SC 41 Internet of Things and related technologies
- ISO/TC 159/SC 4 Ergonomics of human-system interaction
- ISO/TC 173 Assistive products for persons with disability
- ISO/TC 173/WG 10 Cognitive Accessibility
- ISO/TC 211 Geographic information/Geomatics
- ISO/TC 299 Robots and robotics
- IEC TC 3/SC 3C Graphical symbols for use on equipment
- IEC TC 124 Wearable electronic devices and technologies
- IEC SyC AAL Systems Committee Active Assisted Living
- ITU-T JCA-AHF Joint Coordination Activity on Accessibility and Human Factors ITU International Telecommunication Union
- CEN/CLC JWG eAccessibility
- ETSI TC HF Human Factors
- W3C World Wide Web Consortium
2.活動内容
ユーザインタフェースアクセシビリティを社会的に推進するための規格作成に取り組んでいる。
3.審議規格など
(1)2020年度までの発行規格及びその他の出版物
- ISO/IEC 20071-15: User interface component accessibility – Part 15: Guidance on scanning visual information for presentation as text in various modalities
視覚情報を走査して認識するアプリケーションのユーザインタフェース(設定,ユーザの好みの設定,情報の種類の識別,ビジュアルオブジェクトの配置,静止画像の作成,情報コンテンツの識別など)についての指針を提供する。視覚情報を様々な様式で出力できるようにする。 - ISO/IEC TS 20071-25: User interface component accessibility – Part 25: Guidance on the audio presentation of text in videos including captions, subtitles, and other onscreen text
技術に関係なく,あらゆる種類のオーディオビジュアルコンテンツで使用される字幕,キャプション,およびその他の画面上のテキストを,聴覚で認識できる形式で表現するための推奨事項を規定する。オーディオビジュアルコンテンツの字幕,キャプション,およびその他の画面上のテキストを,学習障害者,読書障害者,認識障害者,盲人,視覚障害者,高齢者,その言葉を母国語としない人等,様々な人々が,音声で聞けるようにするための推奨事項を規定する。 - ISO/IEC 20071-23:2018 User interface component accessibility – Part 23: Visual presentation of audio information (including captions and subtitles)(ユーザ インタフェース構成要素のアクセシビリティ - 第23部: 聴覚情報の可視化(字幕を含む))
ビデオなどで提供されるコンテンツの視聴覚(audiovisual) 情報を,視覚だけで理解できるようにするための解説を作成する際の指針であり,解説の作成方法,解説の表示方法,情報のレベル分けなどの指針を与える。 - ISO/IEC 29138-1:2018 Information technology - User interface accessibility - Part 1: User accessibility needs(ユーザインタフェース アクセシビリティ — 第1部:ユーザ アクセシビリティ ニーズ)
ISO/IEC TR 29138-1を2014年に改訂したISO/IEC Guide 71の構成を考慮して変更し,ISとした。ICT分野の製品・サービスを高齢者など全てのユーザが利用できるようにするために,規格,又は製品・サービスの作成者又はアクセシビリティ対応者が考慮すべきことをISO/IEC Guide 71のAccessibility goalsの項目に合わせて規定する。 - ISO/IEC 30071-1:2019 Information technology - Development of user interface accessibility - Part 1: A code of practice for creating accessible ICT products and services ( ユーザインタフェースアクセシビリティの開発 - 第1部: ICT製品とサービスをアクセシブルに作成するための実践規約)
ICT製品やサービスがアクセシビリティに対応するための方法を規定している。組織のアクセシテビリティ対応方針の立て方,ICT製品やサービスの制作過程でのアクセシビリティへの対応の決定の仕方などを規定している。
(2)現在の審議案件
- ISO/IEC 20071-5 Information technology – User interface component accessibility – Part 5:Accessible user interface for accessibility settings on information devices (ユーザインタフェース構成要素アクセシビリティ - 情報通信機器におけるアクセシビリティ設定のためのアクセシブルなユーザインタフェース)の改定 情報通信機器のアクセシビリティ機能を起動・設定するためのユーザインタフェースをアクセシブルにする技術を規定する規格であり,関委員長がプロジェクトリーダとなって制定したISO/IEC 24786:2009を最新技術に対応させるために改訂する。プロジェクトリーダ関委員長。 2nd CD投票が通過し、DIS投票の開始待ち。
- ISO/IEC 20071-21: User interface component accessibility – Part 21: Guidance on audio descriptions(ユーザインタフェース アクセシビリティ - 第21部︓音声解説に関するガイダンス)の改訂 ビデオ,テレビ,映画,ライブ,博物館などで提供される視聴覚情報(audiovisualコンテンツ)を,聴覚のみで理解できるようにするための音声解説を作成する際のガイドラインである。音声解説文の作成方法,音声の出し方,情報のレベル分け,使用する言葉の選択方法などを解説している。 ITU-Tと連携して改訂案を作成中。
- ISO/IEC 20071-23 User interface component accessibility – Part 23: Visual presentation of audio information (including captions and subtitles)(ユーザ インタフェース構成要素のアクセシビリティ - 第23部︓ 聴覚情報の可視化(字幕を含む))の改訂 ビデオなどで提供されるコンテンツの視聴覚(audiovisual) 情報を,視覚だけで理解できるようにするための解説を作成する際の指針であり,解説の作成方法,解説の表示方法,情報のレベル分けなどの指針を与える。 ITU-Tと連携して改訂案を作成中。
- ISO/IEC 29138-3 Information technology - User interface accessibility – Part 3: Guidance on user needs mapping(ユーザインタフェース アクセシビリティ - 第3部︓ユーザ ニーズ マッピング)の改訂 CD投票が通過し、DIS投票の開始待ち。
(3)今後の主要課題
- 20071シリーズの各パートの理解を容易にするため,各パートの構成などを統一する。
- 20071 シリーズで手話を対象とすることの検討。
(4)特記事項
- ITUとJTC1の規格テンプレートの整合性の向上を図る活動
20071シリーズの規格の中にITU-Tでも発行されている(発行される)規格があるが,利用者のために同一にする必要がある。 - World Federation of the Deafとcategory C* のリエゾン締結予定
*category C:WGの活動に技術的に貢献し,積極的に参加するリエゾンのカテゴリ。
4.今後の展望
ユーザインタフェースアクセシビリティに関連する規格案を作成しているので,エンドユーザの方々の意見の集約を図りながら推進したい。